こんにちは校條友紀子です。
今回のテーマは定期借家です。
以前こんなお問合せをいただきました。
「大家歴3年の不動産投資家です。
定期借家って借主にも不動産屋にもすごく嫌われる契約だってことがわかりました。
でもまずはチャレンジしてみたいので実践編をアップしてください。
定期借家を導入するにあたり借主さんや不動産業者への対応はどのようにすればいいのか大家目線で教えてください。」
という内容です。
【1定期借家の特徴7選】
①更新しない
皆さんが賃貸借契約する場合、契約方法は二通りあります。
〇普通借家契約
・契約の更新が可能で期間を2年間としているケースが多くみられます。
・法律的に大家側からの更新拒絶はまず不可能でしょう。
・地域によっては更新時に1ケ月分の更新料がかかります。
〇定期借家契約
・契約期間が終わると賃貸借は終了します。
・更新という考えがなく冷たい言い方をすれば期間満了と同時に退去してもらうという考え方です。
・しかしお互いの合意があれば再契約が可能です。
・ですから2年で追い出されるのではなく、引き続き住みたい&住んでもらいたいとなれば再契約を繰り返すという流れです。
②契約手続きが面倒
契約書類とは別に説明書面などの規則がたくさんあります。
慣れてしまえばこなせますがやったことない人からすると面倒かつ責任が重いといえるでしょう。
特に不動産業者にとってはなんのメリットもないのでそのあたりは大家である我々が寄り添う必要がありますね。
③家賃増減請求権の排除が可能
わ~意味わから~ん。と思うあなた!
簡単にいうと普通借家契約の中で「家賃の値引きはしませんからね~」って入れても法律上認められないんです。
これは社会的弱者である借主を保護するためです。
ちなみにサブリース業者も借主だから保護される立場なんですよ。
だからサブリース業者は数年ごとに家賃の値引き交渉してきますよね。
でも、定期借家であればこの特約は有効なんです!
「大家は家賃の値引きはしませんからね」という特約が法的に成立するんです。
これをどう組み込むかはのちほど実践編で解説しますね。
④立退料がいらない
普通借家はたとえ期間が決まっていても更新することが前提です。
なので、不良入居者だから退去してほしいと思っても・正当事由と立退料が必要です。
高額な立退料を支払うと正当事由に近づくというおかしな実態です。
ここでいう正当事由はまず認めらません。
これも社会的弱者である借主を守る法律だからです。
ところが定期借家では更新しないことが前提なので、貸主の正当事由は必要ありませんし立退料もかからないんです。
次に続く特徴⑤⑥⑦について私は賛同できませんがよく見かける説明記事なので一緒にみていきましょう。
⑤契約期間を短くできる
定期借家であれば1年未満の短期契約で賃貸できる!
これは間違ってはいませんが「不動産投資を一番の目的としない人」に向けた朗報でしょう。
「短期間だけ貸したい場合に安心して使える契約だよ」という制度ですね。
10か月間だけ家を留守にするから誰かに貸して家賃を得たい、でも10か月後は絶対に明渡してほしい。だって帰ってくるから」と思う転勤族などに適していますよね。
近い将来取り壊したいのそれまでの期間だけ貸して家賃を得たいなど、いずれも転勤、取壊し、空家相続、これらは頻繁に起こることではないですよね。
なので賃貸経営メインの大家さんは、頭の片隅におく程度で問題ありません。
⑥家賃が安い(仮説)
これってほんとによく聞きますが事実と違います。
実際私は定期借家を取り入れて10年以上経ちますが定期借家だからといって家賃を安くしていません。
相場相応の家賃で満室経営できています。
・面倒だからやりたくない
・トラブルにまきこまれそうだからやりたくない
という本音を言えない不動産業者の抵抗からこういった風評が流れているのでしょうか。困ったもんです。
⑦お互い中途解約できない?(ウソ)
これも事実と違います。
知識不足による誤報なのか不動産業者の抵抗材料なのかわかりませんが困った風評です。
入居者から中途解約できるようにしてあげればいいんです。
簡単です。
ここものちほど実践編で解説しますね。
【2 5つの実践編】
では実践編です。
ここでは私が実際どのように定期借家を導入しているのか。
5つ紹介します。
①家賃を減額しない特約の入れ方
みなさんは家賃の値引き交渉に直面したことありますか?
供給過多の賃貸市場、新築市場において大家としては減額せざるを得ないでしょう。
でも~定期借家契約においては特約をつければそれは応じなくてもいいとされているんです。
だから~入居者からの家賃の値引き交渉があった場合、やんわりと断りやすくなります。
「契約書の〇条に書いてありますよね~」って。
家賃を下げてくれないなら退去するわ~となるのは本末転倒ですから相場相応の家賃にしておくのが無難でしょう。
私の実践としては「大家も借主もお互いに家賃上げるぞ~とか減らして~って請求するのはやめようね」という特約にしています。
定期借家契約という敬遠されがちな契約だからこそ
こういった歩み寄りが必要です。
②中途解約可とする
定期借家は中途解約できない!という説明文を時々見かけます。
「え~退去したくなったら残りの期間の家賃を払わなきゃいけないの~そんな契約ならやめとこ~」ってなりますよね。
そこで私は入居者から中途解約できるようにしています。
1ケ月前に教えてね~という内容ですから普通借家と同じです。
ただし初回契約での短期解約は違約金を設定しておくといいですね。
これも普通借家と同じですよ。
毛嫌いされる定期借家ですから、本質から外れる内容は大家側の配慮で軽くしてあげましょう。
③条件付きの再契約
期限がきたら追い出されちゃうの?という不安は絶大でしょう。
入居希望者にはこのように説明すると良いでしょう。
「夜中に大声で騒ぐような借主さんには期間満了で退去していただくので、安心してお住まいいただけますよ。
迷惑行為をしない限り再契約できますので定期借家でも心配ありませんよ。」って。
ただし「無条件に再契約できる」と誤解されないよう気を付けましょう。
だって契約するときはその借主がどんな人かわからないからです。
④管理会社へ依頼の仕方
迷惑行為をしない限り再契約できますし、中途解約もできるので心配いりませんよ。
むしろ夜中にのんで大騒ぎするような人は再契約できないので住環境は良好ですよ~」とメリットをアピールしてもらいましょう。
でも~「無条件で再契約できる」とは言わないよう注意を促しましょう。
「不動産会社には「再契約できる」って聞いてたのに、なんで再契約してくれないんだ!」というトラブルが起きないよう、不動産屋と大家が一体となってのぞみましょう。
⑤お金の問題
今まで更新料を受領していた大家さんは、定期借家契約にすると、受領できなくなります。諦めましょう。
逆に手間代を管理会社に支払うくらいの覚悟が必要です。そうすると借主も管理会社も定期借家導入によって、懐具合に影響ありません。
借主は更新料の代わりに再契約にかかる仲介手数料を不動産会社に支払い、不動産会社はそれを報酬として受け取る。
まったく同じでなくてもこのように大家が犠牲になって彼らに気持ちよく仕事をしてもらいましょう。
彼らの協力なしでは定期借家の導入は難しいのです。
更新料がない地域の場合は、再契約の作業代として大家が管理会社にいくらか支払う意気込みが必要です。
定期借家の取り扱いはめんどくさいですし、責任もありますのでこれは感謝の気持ちをこめて報酬を支払いましょう。
自主管理の大家さんは、更新料は取れなくなりますが、違った名目で設定するもよし調整しましょう。
煩雑な手続きは大家さん自ら行うことになるので、手間代を誰かに支払う必要はありませんね。
最後に【3 定期借家の目的2選】
①滞納したり、夜中に飲んで大騒ぎする不良入居者が居座り続けると良好な入居者が迷惑行為に耐えかねて退去してしまう
定期借家であれば、迷惑行為をする借主とは期間満了時に契約を終了するという選択ができるため「期間が満了したので退去してください」と堂々と主張できるのです。
つまり 目的の1つ目は「不良入居者を排除して、良好な入居者に長く快適に住んでもらう」ってことなんですね。
②特約により「家賃が減額されない」ってことは、契約期間内の賃料が固定するので賃貸経営の安定につながるんです。
大家って、家賃から経費を支払い、返済でがばーっともっていかれるので苦しいですよね。
決して大家がマウントとってるわけじゃないこの定期借家。
海外を見習って、もっと日本の賃貸市場に浸透するといいですね。
YouTube動画にてこの内容を閲覧できますのでよかったらご視聴くださいね!
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